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桜庭一樹.『青年のための読書クラブ』

2008.07.14 Monday | *OTHERS > BOOKS

 乱歩の『D坂の殺人事件』が読み終わったので、新しいのを読み始めました。
 今度は、一緒に図書館から借りてきた、桜庭一樹の『青年のための読書クラブ』です。なんでこの本を借りてきたかといえば、偶然見つけたという程度なのですが、なんか表紙が凝っててなんだこれって思って手にとりました。
青年のための読書クラブ

 こんな感じの表紙。インパクトがあるなあと。まだ単行本は出てないらしいので、買わずに図書館に頼りました。うんやっぱハードカバーは流石に買うのが躊躇われる。

 あともう少し加えるならば、丁度Yahoo!コミックでこれの漫画版が無料で読めるからだったりします。現在進行形で、ちょうど第1章が終わった段階です。更新の度に古いものから読めなくなってしまうのですが、ちゃんと時期を逃さずにいれば、全話無料で読めるはず。

 舞台は、東京山手にある、「聖マリアナ学園」という伝統のある女学校。家柄のよい、きれいなものに囲まれて育った”お嬢様”ばかりが集まる学園の空気とは少し違う、”はみ出し者”の集まりである「読書倶楽部」が学園の歴史を読書クラブ誌に書き記したもの、というスタイルで話が展開していきます。


 全部で5話の短編集という扱いにもなっているため、乱歩のときと同様に別々に読書メモしようかと思います。

(20080714読了)
 読み終えた日付、タイトル、メモの順です。

080704.第1章 烏丸紅子恋愛事件
 そもそもこの本を読んでみたいと思ったきっかけになった話。フランスの作家、エドモン・ロスタンの『シラノ・ド・ベルジュラック』という作品が随所で出てくるためにこっちの作品も気になってこないでもない。まー読むかどうかは分からないけれど。
 事実を記す、という形式をとっているからか、なんだか面白いけれどちょっと物足りない感じがしました。もっと話を広げて欲しかったという気がします。思春期の女子高校生ばかりの女学校で、毎年2年生から「王子様」が選ばれるっていう設定はなんかものっそい納得させられてしまったのですが…うーん、女だけどずっと共学だったから女学校って未知の場所です。こ、こんなもんなん…?
 結局これって誰が「勝ち」だったんだろうなあ。大穴狙いで新聞部部長のような気がしないでもないけれど(…)

080705.第2章 聖女マリアナ消失事件
 聖マリアナ学園を創設したフランスの修道女、マリアナがある日いなくなってしまった、その事件の真相が明らかにされる話。マリアナの生い立ちメインかと思いきや、そのお兄さんのミシェールもどんどん出てくる。ストーリーももちろんですが、語られる話の雰囲気と、文章のタッチがちょうど良くあってておもしろかったです。ていうかミシェール兄さんとその友人2人について書かれてる部分、あーきっとかっこいいんだろうなとか想像というか妄想。
 第1章よりもこっちの話の方が好きです。でもやっぱちょっと物足りないかなあと思わないでもない。もっと若いころのを書いて欲しい!(そっちか

080714.第3章 奇妙な旅人
 バブル期の黒歴史。学園生徒会は政治家や元華族の子女で構成しているのですが、バブルの勢いで成金の子女が学園に転入という名の乱入をしかけ、その勢いで生徒会はじめ学園全体が混乱の渦に巻き込まれてます。
 こちらは時代背景を踏まえた上での、ああ納得というような、前の2つよりかは平凡にも思えるような話でした。部長はかっこよかったかな。時雨の髪型はいまいちよく理解できなかったけれど…

080714.第4章 一番星
 2009年の話。あれ、来年じゃん。
 読書クラブから、赤毛の少女が飛び出し、ルビー・ザ・スターというロックスターとして学園を退廃的なロックの嵐に巻き込み、そしてあっという間に、それこそ嵐のように消え去ったという話。第2章とも若干つながっています。ああ、こうきたか、という感じ。
 ルビーの考えてることはさっぱりわからなかったけれど、これはおおしろいなあと思いました。

080714.第5章 ハビトゥス&プラティーク
 2019年、聖マリアナ学園のひとつの終焉の年の話。少子化の影響で、翌年からは系列の男子校との共学に変化するという年、読書クラブの部員は2年生1人になってしまっている、そんな時に学園中の話題をさらった一人の謎の学生、「ブーゲンビリアの君」にまつわる記録です。
 おお、やっぱこの話全部つながってるんだなーと改めて実感した話です。初出を見ると、第1章と第5章以外はすべて書き下ろしらしく、厳密に言えばつながっているのはこの2つなのかもしれません。でも第2章とも繋がっていたりいなかったり…と、ちょっと前のを読み返したくなりました。
 また、最後を飾るにふさわしく、そして、常に学園の影、部屋の隅の埃のたまった部分のような読書クラブらしい、といえるような結末です。
 おもしろいけど入部するのはどうかと…とか思っていた読書クラブでしたが、これを読んだら、なんかやっぱ同じ趣味の者同士の集まりっていいなって感じました。
 じじばばになっても仲間って言えるのって羨ましい。

「桜庭一樹.『青年のための読書クラブ』」の評価です。

author : nora | comments (0) | trackbacks (0)

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