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湯本香樹実.『夏の庭―The Friends』

2008.08.10 Sunday | *OTHERS > BOOKS

 まだ読み途中の本もあったのですが、終戦記念前後のこの時期に入ったため、それを放って読みました。
 中学生以来、ほぼ毎年のように夏になると1回は読んでしまう本です。たぶん本読みながら泣いてしまったのってこの本が最初なんじゃなかろうかというくらい大好きな本です。今はもう懐かしくて読む、の領域に入ってしまったので泣きはしませんが…たぶん。

夏の庭―The Friends (新潮文庫)


出版社紹介文より(新潮社):
 
12歳の夏、ぼくたちは「死」について知りたいと思った。そして、もうすぐ死ぬんじゃないかと噂される、一人暮らしのおじいさんを見張り始めて…? 三人の少年と孤独な老人のかけがえのない夏を描き、世界十数ヵ国で出版され、映画化もされた話題作。

 
 エッ映画化されてたの!!?(…)み、観なきゃだ…!
 あ、でも、この話は特に、映画から入るのはして欲しくないなーという気がします。中学生向けの本なので(読書感想文の課題になったり、国語教科書に推薦書として掲載されたりしてます)、別に文体が難しいわけでなし、どんどん読み進められると思います。

 読書感想…というほどではないのですが、とても懐かしい思いに駆られるような、そんな身近な話だと思いました。私自身、小学生のころに祖母の死を体験していたため、3人の主人公と同じように、「死ぬってどういうことなんだろう」とずっと考えていた時期がありました。だからといって実際彼らのように”死にそうな”老人を見張るようなことはしませんでしたが(そりゃそうだ)、でも、なんとなく彼らの行動や、考えていること、そういう細かい所に共感を覚えてしまいます。きっとこの時期には大抵の人は似たようなことを考えたりしたことがあったんじゃないかな、と思います。
 夏、蝉の声を聴くと、時間を忘れて読みふけってしまった中学生の頃のことを思い出します。無性に読みたくなる、とはこういうことかなあと。

 おすすめの本を紹介しよう、と言われたら、まっさきに思い出すのがこの本です。今この時期、夏休み真っ最中だからこそ読んでもらいたい。そして知り合いに中学生くらいの子がいたら、是非とも教えてあげてもらいたい本です。

 最近この本にまつわるちょっと嬉しいことがあったので、以下ワンクッション。

 個人の話になるのでできる限り伏せますが…
 夏休みの宿題やらをみることがあり、その中の一人、中学生の女の子がそれなりに私に興味を持っているようで、勉強以外で話したりしています。そんなに溌剌とした感じではないので、もじもじ、というような感じです。私が本を読んでいると、「何読んでるの?」と近寄ってきたり、ブックカバーを外してみようとしたり…と、ともかく本が気になる様子。その時読んでいた本は、文学の類ではなかったし、中学生には難しかろうつまらなかろうと思ってうやむやなままにしてしまったのですが…お、これはいい機会かも?と思いまして。
 別の日に、今度は本を変えて読んでみました。それがこの『夏の庭』です。ちょうど読みたいなーと思っていたところだったし。
 そうしたら、思った通り、といいますか、その子がまたも「何読んでるの?」と。
 今度は「待ってました!」とばかりに「読んでみる?」と手渡してみました。こういう話だよ、とか、すっごくおもしろいよ!とか、そういうことは言わずに。
 しかし、私が読んでいる本がどんなものなのか前々から気になっていたため(しかも私が黙って”夢中で”読んでいるのを見ていたため)、その子も興味津津、という様子で読み始めました。
 そしたらどうでしょう、あっという間にじっと黙って読み浸り始めたんです!
 その日は途中までしか読めずに帰ってしまったのですが…しかしあとはこっちのものです。翌日にも宿題を見たその帰り際、今度は「続き読みたいんだけど…」と本をぱらぱらめくりながら聞いてきます。私はたぶんそうなるんじゃないかなあ、と思っていたので、というか、そういう風になってもらえたらいいなあ、と思っていたので、あらかじめ読み終えておきました。なので、「じゃあ貸すから、読み終わったら持ってきてね」と言いました。その時の嬉しそうな顔ときたら!
「ありがとう!」って言いながら本を持っていく姿に満足、すごく嬉しかったです。


 最近は、不読者とか子どもが本を読まなくなったとか、そういう言葉をよく耳にしたりするのですが、だからといって読書感想だなんだと押し付けたりしなで、こうやってちょっと「何を読んでるんだろう?」と興味を持たせるようなことをすれば、案外読み始めるものなのかもしれない、と思ったりしました。
 つけ足せば、この本は私自身が彼女と同じ中学生の時に初めて手に取って読んで、そして強く印象に残った本。中学生というあの時期にこの本に出会ってよかったなあ…と思っていたので、同じく中学生の彼女がこの本と出会う手伝いができたのは、私自身とても嬉しいことでした。
 こういう読書案内もいいんじゃないかなあ、と。

 しかもこの出来事にはおまけがあって、このやりとりを見ていた他の子も、「何読んでるの?」と聞いてきたり。
 もしかしたら、あの女の子が読み終わった後にも、誰かに貸すことになるのかもしれません。

「湯本香樹実.『夏の庭―The Friends』」の評価です。

author : nora | comments (0) | trackbacks (0)

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